姫野カオルコけんきゅう室

姫野作品の末枝に勝手に迫る!
 
 『レンタル−不倫−』再構成 == ヒメノ読者の密かな楽しみ ==
 
『レンタル−不倫−』再構成
      == ヒメノ読者の密かな楽しみ == byはやしなつせ

【注意:豪快なネタバレです 角川文庫『レンタル−不倫−』

未だに処女の30女、力石理気子(美人)にロマンスが訪れた<文庫裏表紙より>
のが、あの『ドールハウス』、『喪失記』に続く完結編『レンタル(不倫)』です。
 作風の違いに、「あれとあれがこれになるのか?」と面食らった方もおられましょう。

ちっちっち、そこは姫野さんの私小説ですからね。

この年齢で震えてみせろとだれがいうか。
「笑ってみせるわ」
           (「喪失記」角川文庫p.234)
と、笑ってみせたのが『レンタル(不倫)』だったのです。

 このことは、先の2作やエッセイなどを丹念に読み込んだ方なら気が付いてにっこり笑っているだろうと思うが、「ネタバレ掲示板」にだれも書かないのでここに記しておく。(2001/10/01)

そう、姫野カオルコの独特の美意識と屈折のプリズムを通して描かれた恋愛小説が『レンタル(不倫)』である。とココは論説調で言い切ってしまおう。

 「作品けんきゅう」は以上です・・・
 このことにより、『レンタル(不倫)』は優れた批評性をもった知的サーヴィス満載の恋愛小説となっている(<斎藤美奈子氏の文庫解説のウケウリ ^^;)

それはそうなんですが…
大西は言ってますね。
「これからはそうしろ」

 「笑ってみせるわフィルタ」をちょっと外してみたい誘惑にかられます。
『レンタル(不倫)』を再構成してみましょう。
(参考:『少年ジャンプが僕をだめにした』:『サイケ』収録)

 先ず理気子の視点からのコメント、モノローグはほとんど削除/修正する。
 澁澤龍彦。星野えりかはお尻を撫でられて激怒しているが、澁澤龍彦のアプローチは一昔前の考えていない色男を思い出させませんか(例:ショーンコネリー扮する初代OO7)。ゲロシーン削除。
 霞はフランス映画の色男。台詞は少しは意味がありそうに若干修正する。

 理気子について、「62歳のベルギー人の富豪の後妻のような外見なのに処女」というのは一般に了解されにくいかもしれないので、ここは星野えりかと同性愛関係であるかのように仄めかしておくというのはどうか。
 すると、星野えりかはバイセクシュアルで結婚していて六っつ年下のボーイフレンドがいることになる。
 星野(夫)とバレリーナにはもう少し苦悩させる。

 最後に、彼らと彼女らのサービスシーンを無計画に書くか、丁寧に書くか、ぞんざいに書くかでジャンル分けが異なるのだろうが、姫野さんの筆力をもってこの際リリカルに配置する。『変奏曲』から借りてくるのも可でしょう。

 さあ、アタマのなかで再構成してみよう。316ページ分……。
 この作品は幅広く受け入れられるのではないか。

 「……これでは姫野作品とはいえない」と思った方、

もう少し付き合いたまえ。

こっちの方を先に出版するのだ。
題名は
『不倫 青』

そして大ヒット・映画化決定されたころオリジナルをおもむろに出版するんである。
その名も
『レンタル(不倫) 赤』。とゆーのはどうか。 

  以上ッ。

 
  (by はやしなつせ  20001/10/01 )

 
 

 

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