姫野カオルコけんきゅう室

姫野作品の末枝に勝手に迫る!
 

 新沼 研(まなぶ)さんのひみつ (『ひと呼んでミツコ』)

 
『ひと呼んでミツコ』新沼 研(まなぶ)さんのひみつ・・・

 MITSOUKO、ゲランの名高い香水。日本人女性をイメージして作られたという、その神秘的で官能的な匂いを嫌う日本男性は、意外なことに、多い。−−−「くさい」。「こりゃ昔の床屋の匂いだよ」・・・【スパイシィ、でオリエンタル】な香水は西洋の乾いた空気でしかエキゾティックに匂わないのかもしれぬ。
(「昔の床屋の匂い」は”オールドスパイス”という男性用香水と思うのだが如何)MITSOUKOの薫りつき文庫ってのはどうよ。
 
 さて、『ひと呼んでミツコ』Vol.4 SAD OF MUSIC の新沼さんである。
 ミツコとつきあっていたが、「ミツコさんは清楚でスが、ある女性にはもっと異性としての魅力を感じた」と言って去っていった新沼さん。
 
 『ドールハウス』の江木、『喪失記』のプール監視員<彼女はさびしさをしっているからとてもやさしい>が同じようなキャラクタ同じようなパターンですが、新沼さんだけ妙にかわいげがあるように思える。思えるんだってば。

 なぜか。
 考えてみました。読み込んでみましたよ。隅から隅まで。

 『ひと呼んでミツコ』はコメディだし楽しいデートの記述もある。『ドールハウス』、『喪失記』は”私小説”寄りだという作品の雰囲気の相違もありましょう。
 
 姫野作品けんきゅう家の第一任者(笑)の私の仮説を提示する−−−「新沼 研は純粋に虚構の人物である」説。
 ここで、『ひと呼んでミツコ』の 「・律儀の味方−−−あとがきにかえて」に注目したい。

<完成原稿となるまでには結構な年月がかかりました。・・・(中略)・・・ さらに次々と文中のくだりがなぜか現実になってゆき、そのほとんどは些細なことでしたが、中には些細でないこともあり、担当の鈴木さんから「作者が登場人物のあとを追うという、希有なる逆私小説」と励まされたものの心中複雑でした。>
 これである。
 「中には些細でないこともあり」が江木でありプール監視員だったんである(きっぱり)。”プール監視員”、”江木”は著者の現実の経験を反映した人物であり、新沼さんを書いたときは純粋な創作だったんであるまいか。

 ううむむむ。
 しんぷりー りめんばー まいふぇばりっとしんぐず あんど ぜん あい どんと ふぃーる そー ばっど
 

  以上。異論があれば受けてたつぞッ  ・・・(笑)

 
  (by はやしなつせ 13.07.27)
 
 
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