<大絶賛> 【注意】一部ネタばれあり。
『不倫』と書いて『レンタル』とルビを振る。
単行本のオビに 「さよならを教えて 甘ったるい恋愛小説を凌駕する恐るべき純愛物語 独自の感性で綴った全く新しい文学の誕生」 んで、姫野カオルコ。 どんな「純愛」物語であろうかとドキドキする人もいるだろう。 「私は男に飢えていた」の『喪失記』が処女三部作の第二部なのだしね。そしてこの第三部だ。姫野さんは、そんな期待?を軽々と裏切る。 3ページ読んで驚嘆。文章のタッチがちょっと違う。 三十路で独身で処女のアッシュ小説作家、力石理気子はきっと姫野さん本人にとても近いのであろう。既婚者の霞雅樹と恋愛することになるのであるけれど、いかんせん「つきあう」に慣れていない。
理気子と霞の他、担当編集者の星野と、その妻であり、かつ理気子の友人でもある星野えりかもそれぞれに不倫している。彼らのありがちな恋愛模様を描くことにより、「つきあい」の美学、スタイルに鋭いツッコミを入れている。
私も、これらの恋愛の「手間」の甘さを一定認める。けれども、メディアというカタログに載っている情報の収集と提示、消費が、「つきあう」の内実であるなら、二人の間にあるのは、もはや言葉ではなくデータ、心ではなく物でしかないだろう。
(なつせ 99/07/09)
[○○○は新世界。○○は拳骨。]
ところで、霞さんのセリフは麗美な単語の集合体です。句読点もなく続きます。
霞の話す言葉は、彼の手紙の添削後(「トルツメ」のところ)と同じく正味が薄い。流麗・難解な単語に象徴される心理的ブランドが、身に滲みてないんだと思います。物品的ブランドについては、本作では直接には語られまていませんが、フ。 (何かスカした著作のパロディのような気がするのですけれども、私の教養が足りません。:01/02/15) |
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