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●ただいま執筆中 −−−      (00/05/21)
                    姫野カオルコ

コメント:
 小説というものは、長編はもちろん短編でも、とりかかるとそれは時
間を食うもので、この間に雑誌のコメント取材やTV出演やらが入ると
とてもばたばたとして一度トーンダウンした集中力を取り戻すのに多大
なエネルギーを要します。取り戻し方はそのつど自分で工夫します。必
ずこうするという決まりはありません。

 4月、5月初旬と、ありがたいことにお手紙をくださる方が多かった
のです。それで、仕事の合間を縫って、それを読み返して励まされたり、
返事を書いたりしておりました。

 それでなつせサイトにもヤンソンサイトにも行かなかっただけなので
すが・・・。
 また、行くときにしても、ときにはさっと眺めるだけということもあ
ります。
 だからつぶさに皆さんにレスポンスできないことが、ままあるのです
が、こうした事情をお許し願えたらと・・・。

  以前は、いくつかの雑誌に連載エッセイを持っておりました。私は基
本的にエッセイというものは、読者がその書き手をまるで知らなくても、
また書き手の名前を見なくても、ラーメン屋でいきなり本文から読んだ
だけでも、公共性のあるまとまり方をしていないといけないと考えてお
ります。だから備忘録でしかないようなエッセイというのは、スターに
だけ許されることだと。

  ただ、以前に持っていた連載で例えをあげれば『ダカーポ』でやって
いたようなエッセイの場合なら、たまに私的なことを「引き」に持って
きて、やがて公共性をもたせたまとめかたをすることは可能です。

  ですが、病気がつづいて連載エッセイをすべておろさせてもらった現
在では、そうした性質の場所はありませんので、単行本でエッセイを出
すさいにその場所を作ろうと思っています。それがもっとも適切だと思
うので、今から丹念に計画を練ってさえいます。短気な編集さんのよう
に急かさないでいただければと祈っております。

 また、年齢のせいだと思いますが、どうもPC画面に向かっていると
落ちつかない。原稿用紙かワープロでないと落ちつかなくて、考えがよ
くまとめられない。だいたい横書きというのが落ちつかない。
 親指シフトで富士通のワープロを使っているのも縦書き表示がもっと
もすぐれているからです。

 テキスト画面を出してそこに作成して、
それを編集、貼りつけしても、オフライン作業にしても、なんだかなん
だか落ちつかないんです(単純なことなら書き込みももちろん気軽にで
きますが、前にも書きかけて途中でやめたサロンの掟とかダヴィンチの
こととかはちょっと・・・)

 書き込むさいの、あのフレームに落ちつきを失うようです。プロなん
だから一応気のきいたオチをつけようと思ったりすると、もう、ほんと
に頭が混乱してくる・・・。
 
 なつせならびにヤンソンサイトのような、読者主催の、読者が集うサ
イトというのは、みなさんにとってたのしい所であると思うし、マナー
を守ってみなさんが気持ち良くたのしまれればと願っています。

 主役はみなさん読者で、私は脇役のつもりでおりますから。

  あ、マナー、マナーというと、なにかすごく難しく受け取られる方が
おられるかもしれませんが、なにも敬語の使い方とか、フォークは左で
ナイフは右でとかいったような難しいことではありません。
 実在の人物への口汚い中傷はやめてね、ということです。ありていに
言うと、死ねとか国籍蔑視とかです。

 なつせさんが「書き込みルール」とあげておられることも、他の無責
任な書評サイトのことを念頭にしたものでしょう。ほんとに無責任とい
うか、自分とはまったく関係ない本についての書評なのに、『リング』
のようにそれを目にした者はみな鬱病になりそうな無責任なサイトもあ
りますから・・・。
 
 すこし話は逸れますが。
 想像してみてください。

 中学や高校の教室です。
 教室の座席には50人の生徒がすわっています。
 あなたは51人目の生徒です。
 名前をAさんとしましょう。
 あなたは教壇にひとり立っています。
 あなたは裸です。

 50人の生徒たちは、挙手しては、あなたについて意見を述べます。
「Aさんの足は、O脚だと思います。膝もがさがさしています」
「はい。Aさんの鼻の穴は上を向いていて小鼻に皮脂がたまってます」
「はい。Aさんの髪の毛の質はきれいです」
「はい。Aさんの指の形の特徴は・・・」
 などと、次々にあなたを観察しては意見を述べます。
 その意見には、あなたを褒めるものもあれば、そうではないものもあ
ります。

 Aさんの次は、べつのあなた、Bさんが全裸で教壇に立つ番です。B
さんの次はCさんです。Cさんの次は・・・。こうして全員が教壇に立
ちます。
 としたら、挙手したさいにみんなが自然と守ることは?
 マナーって、たぶん、想像力のことではないのかな。
 堅苦しさのことではなくて。

                         (END)
(c)Himeno Kaoruko 2000 禁無断転載
 

 

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